なぜ要るか
ここまでで、URLを1本持っています。これは想像以上に強い持ち物です。
「AIで開発できます」と言うのと、「これを作りました」とURLを出すのでは、相手の反応がまったく違います。
前者は説明が必要で、後者は説明が要りません。触れば分かるからです。
この術は、作ったものを話の入口に変える回です。名刺は渡すと相手が読んで、そこから話が始まります。動くものを渡すと、読むかわりに触ってもらえます。だから「動く名刺」と呼んでいます。
使う道具: なし(8章で公開したURL)
AIプロンプト
この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。
下のゲームを人に見せたとき、来そうな質問を10個挙げてください。
意地悪なものも混ぜて。特に「何で作ったか」「権利は大丈夫か」を厚めに。
(ここへURLと、使った道具・素材の一覧を貼る)
(ここへURLと、使った道具・素材の一覧を貼る)の部分は、自分の公開したURLと、使った道具・素材の一覧に置き換えてください。
「作れます」より「作りました」
僕が実感しているのはここです。
| 言い方 | 相手の反応 |
|---|---|
| AIで開発できます | 「へえ」で終わる。信じる根拠が無い |
| これを作りました(URL) | 開く。触る。質問が出る |
質問が出るのが目的です。質問が出れば、そこから会話になります。
そして質問はたいてい同じところに来ます。
「これ何で作ったんですか」
「どれくらいかかりました」
「絵はどうやって用意したんですか」
この3つに答えられれば十分です。 1章から8章までやってきたなら、全部答えられます。
見せる形を整えます
同じゲームでも、渡し方で開かれるかどうかが変わります。
| 整えること | 理由 |
|---|---|
| URLは1本だけ渡す | 選ばせると開かれにくくなる |
| スマホで開ける | 相手はその場で開く。8-5で確認した項目 |
| 30秒で何か起きる | 説明を読ませない |
| 音が勝手に鳴らない | 人前で開かれることがある |
4番目を軽く見ないでください。 打ち合わせや電車の中で開かれます。5-2で「既定は音が出ない」にしたのが、ここで効きます。
そして一番効くのが 30秒で何か起きる ことです。開いてすぐ「何をすればいいか分からない」状態だと、閉じられやすくなります。6-3で説明なしで操作できる形にしたのは、このためでした。
この講座の見本ゲームも、その形にしてあります。渡すのはこのURL1本だけです。
https://ichinin.kenty.app/game/
インストールも登録も要らず、開けばそのまま遊べます。「これを作りました」の一言と一緒に投げれば、それで動く名刺です。
相手によって見せ方を変えます
同じURLでも、話す内容を変えます。
| 相手 | 見せるもの |
|---|---|
| 遊んでくれそうな人 | 作品として。 遊び方だけ |
| 作りたい人 | 工程として。 どう作ったか |
| 仕事の相手 | できる範囲として。 何が作れるか |
混ぜないでください。 遊びに来た人に工程を語ると退屈します。逆に、作りたい人へ遊び方だけ説明すると、聞きたかったことが聞けません。渡す前に、相手がどれなのかを1つ決めておきます。
仲間には売り込まない
これは僕が決めていることです。一緒に作っている仲間や、同じ界隈の人には、売り込みをしません。
見せるのは作品としてだけです。登録の案内も、商品の案内も付けません。
理由は単純で、関係が壊れると作れなくなるからです。仲間は、感想をくれたり、素材を貸してくれたり、一緒に遊んでくれる相手です。そこを売り先として扱うと、その全部が失われます。
見せる相手と、売る相手を分ける。 これは技術ではなく態度の話ですが、長く続けるうえで一番効いています。
権利を説明できる状態にします
見せると必ず聞かれます。「これ使って大丈夫なの」
だから先に答えを用意します。
| 確認すること | どこで扱ったか |
|---|---|
| キャラの権利 | 4-1(二次創作が許されているか) |
| 絵・音・動画の利用範囲 | 1-7、4-1、5-2(道具ごとの規約) |
| 使った素材の出どころ | どこから持ってきたかを言えるか |
1番目の二次創作とは、他の人が作ったキャラや世界を使って自分の作品を作ることです。許されているかどうかは持ち主が決めていて、公開している条件を読めば分かります。
「たぶん大丈夫」では見せられません。 公開している以上、聞かれたら答えられる状態にしておきます。
そして答えられない素材は外してください。 1つのグレーな素材のために、作品全体が見せられなくなります。
1本に絞ります
見せるものは1本だけにしてください。
3本見せると、どれも触られないことがよくあります。選ぶ手間が、開く前のひと山になるからです。
選び方はこれです。
| 選ぶ基準 | 理由 |
|---|---|
| 完成しているもの | 途中のものは説明が必要になる |
| 30秒で伝わるもの | 説明の要らないものが強い |
| 自分が説明したいもの | 質問に答えるのが楽しいもの |
未完成のものを見せて「まだ途中なんですけど」と言うと、相手は評価を保留しがちです。 見せるなら、途中でも「ここまでは完成」と言える切り口を選びます。
やってみる
1本選ぶ
完成しているものを1つ。迷ったら、いま公開しているものです。
スマホで開いて30秒見る
ここで判定します。30秒で何か起きますか。 判定の仕方は簡単で、開いてから30秒のあいだに、説明を読まずに1回でも操作できたかを見ます。読まないと何もできないなら、まだ渡さないでください。
質問3つの答えを用意する
何で作った → 道具の名前を3つまで どれくらい → 実際にかかった時間 絵は → どう用意したか(4-1)正直に言ってください。 「AIで作りました」で構いません。隠すと次の質問で詰まります。
来そうな質問は、先にAIへ出させて練習できます。
下のゲームを人に見せたとき、来そうな質問を10個挙げてください。 意地悪なものも混ぜて。特に「何で作ったか」「権利は大丈夫か」を厚めに。 (ここへURLと、使った道具・素材の一覧を貼る)答えに詰まった質問が、用意しておく答えです。
権利を1行で言えるようにする
キャラは〇〇のもので、二次創作が許されている 絵は〇〇で作った。商用の可否は確認済み商用の可否とは、その素材や道具の成果物を、お金を取る形で使ってよいかどうかです。無料で見せるだけなら問題にならないものでも、売る段階で条件が変わることがあります。各道具の利用規約に書いてあります。
1人に渡す
売り込まないでください。「作ったので見てほしい」だけです。
質問をメモする
9-2と同じです。聞かれた質問が、次に用意する答えです。
つまずきどころ
見せるものが無いと感じる
公開しているなら、あります。「小さい」は理由になりません。 動いているものは、動いていない構想より強いです。
恥ずかしい
分かります。ただし見せないと感想が来ないので、良くなりません。 9-2で書いたとおり、直す場所は他人から来ます。
説明が長くなる
30秒で伝わらない作りになっています。URLを渡す前に、6-3へ戻ってください。
質問に答えられなかった
その質問の答えを用意してください。次に同じ質問が来ます。 答えが溜まると、見せるのが楽になります。
仕事につながらない
この術の目的は仕事ではなく、話が始まることです。話が始まらないうちに仕事の話をしても進みません。
売り込みたくなる
相手を見てください。仲間なら売り込まない。見せる相手と売る相手を分けるのは、短期の損で長期の得です。
Windows の場合
差はありません。
次の一歩
1人に、URLを1本だけ渡してください。
売り込まず、感想も求めず、「作ったので見てほしい」だけ。そこから何か聞かれたら、この術は成功です。
見せる形になりました。次は、その1人と繋がるところまで持っていきます!