第9章 運営と改善/2 本目 / 全 5/約20分

感想を集めて次の一手を決める

こより

要望は症状だよ。数えて多かったものを一つだけ直して、また黙って見せてみて。

案内役 こより
この術でできるようになること

次に直す場所が決まる

なぜ要るか

前の術で数字を見ました。でも数字は「なぜ」を教えてくれません。

2回目を遊んだ人が少ない、という数字は出ます。理由は出ません。 難しかったのか、飽きたのか、そもそも終わったと思ったのか。

だから言葉を集めます。そして集めた言葉を、次に直す1箇所に変えます。

使う道具: webstats

AIプロンプト

この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。

集めた感想を、反応・観察・要望の3つに分類して。
- 反応: 感想や評価。直す場所を含まない
- 観察: 実際に起きたことの記述。詰まった場所や動作を含む
- 要望: こうしてほしいという依頼

分類したら、観察と要望を内容ごとに数えて、多い順に並べて。
判断に迷ったものは「不明」に入れて、そのまま出して。

この続きに、集めた感想とメモをそのまま貼ってください。

感想は3種類に分かれます

集めた言葉を、まず分けます。混ぜると使えません。

種類 使い道
反応 「面白そう」「いいね」 気分は上がるが、直す場所は出ない
観察 「ここで止まってた」「音が出ないと言われた」 直す場所が出る
要望 「キャラを増やして」 そのまま実行しない。後述

真ん中だけが直接使えます。

そして重要なのは、反応と検証を混同しないことです。「いいね」が100個ついても、遊ばれたかどうかは分かりません。ここを混ぜると、手応えだけあって何も進まない状態になります。

要望はそのまま実行しません

「キャラを増やして」と言われたとき、キャラを増やすのは早いです。

その要望の裏に何があるかを見ます。

言われたこと 裏にありそうなこと 打ち手
キャラを増やして 同じ相手で飽きた 相手の反応を増やす方が安い
難しすぎる 何をすればいいか分からない 説明ではなく画面を直す(6-3)
もっと遊びたい 1回が短い/終わりが唐突 回数ではなく余韻を足す

要望は「症状」で、直す場所は別のところにあります。 熱が出たときに、熱を下げるだけでは治らないのと同じです。相手は困ったことを感じ取って、思いついた解決策の形で言ってくれます。困ったこと自体は本物ですが、解決策の方は当てずっぽうです。

ただし例外があります。同じ要望が3人から出たら、素直に受けてください。 3人が同じことを言うのは、症状ではなく事実です。

この講座のサンプルゲームでも、これをやりました。最初のサンプルは「数くらべ」で、読者から「つまらない」と感想が来ましたが、直したのは画面や説明ではなくルールです。原因は2-2で決めるはずの「面白さの1行」がサンプル自身に無かったことで、そこから作り直したのが、いまの見本ゲーム「三つの的」です(6-7)。

数を数えます

言葉は感情的に効くので、声が大きい1件に引っ張られます。

だから数えます。

「音が出ない」        3人
「何回勝負か分からない」 2人
「キャラを増やして」    1人

上から直します。 これだけで、直す順番の議論が消えます。

僕は反応を集める仕組みを作って、いまのところ68件を溜めています。 溜める場所は特別なものではなく、1件1行のファイルです。9-1で訪問数を追記したのと同じ形です。溜める理由は数えるためです。1件ずつ読んで判断していると、印象に流されます。

分類は自動にできます

集めた言葉を「反応か、観察か、要望か」に分けるのは、AIに向いた作業です。判断基準を渡せば分けられます。

claude -p "集めた感想を、反応・観察・要望の3つに分類して。
- 反応: 感想や評価。直す場所を含まない
- 観察: 実際に起きたことの記述。詰まった場所や動作を含む
- 要望: こうしてほしいという依頼

分類したら、観察と要望を内容ごとに数えて、多い順に並べて。
判断に迷ったものは「不明」に入れて、そのまま出して。"

claude -p は、対話画面を開かずに、そのまま指示を1回だけ実行させる書き方です。1-3で扱った形と同じです。

最後の1行が効きます。 迷ったものを無理に分類させると、数が歪みます。AIは指示された箱のどれかに必ず入れようとするので、逃げ道を作らないと「観察」の数が実際より多く出ます。

聞き方で結果が変わります

「どうでしたか」と聞くと「面白かったです」しか返ってきません。 相手は気を使います。

だから聞き方を変えます。

効かない聞き方 効く聞き方
どうでしたか どこで止まりましたか
面白かったですか 何回遊びましたか
改善点はありますか 分からなかった言葉はありましたか
使いやすかったですか 最初に何をしようとしましたか

共通しているのは「事実を聞く」ことです。 評価ではなく行動を聞きます。

そして8-5で書いたとおり、一番強いのは黙って見ることです。 聞かずに見れば、気を使われません。

次の一手は1つに絞ります

集めて数えたら、直すのは1つです。

やってはいけない やること
全部直してから出す 1つ直して出す
一番簡単なものを直す 一番多く言われたものを直す

2番目に注意してください。 簡単なものから手を付けたくなりますが、それは自分の都合です。多く言われたものを直さないと、次も同じことを言われます。

そして直したら、同じ人にもう一度渡します。 直ったかどうかは、その人しか判定できません。

やってみる

  1. 3人に遊んでもらう

    多くなくていいです。3人で十分に傾向が出ます。 同じ場所で2人が詰まれば、それは偶然ではなく画面の問題だと判断できます。逆に1人だけの指摘は、その人固有の事情かもしれません。

  2. 説明せずに見る

    8-5と同じです。質問されたら、答える前にメモします。

  3. 言葉を3種類に分ける

    反応、観察、要望。反応は数えなくていいです。

  4. 数えて並べる

    観察: 音の出し方が分からなかった  3
    観察: 何回勝負か分からなかった    2
    要望: 相手を増やしてほしい        1
    
  5. 一番多いものを1つ直す

    ここで全部直そうとしないでください。 1つ直して、また見せます。

  6. 同じ人にもう一度渡す

    「前より分かりましたか」と聞くと、直したことを知っている相手は「分かりました」と答えます。だから聞かずに、もう一度黙って見てください。 同じ場所で止まらなければ直っています。

  7. 保存する

    git add .
    git commit -m "感想で一番多かった点を直した"
    git push
    

つまずきどころ

感想がもらえない

聞き方が広すぎます。「どうでしたか」ではなく「どこで止まりましたか」に変えてください。答えやすい質問にすると返ってきます。

褒め言葉ばかりで直す場所が出ない

正常です。褒め言葉は反応で、直す材料ではありません。 行動を聞いてください。

厳しい意見でへこむ

数えると楽になります。1件は1件です。 声の大きさではなく件数で見ると、感情から切り離せます。

要望を全部実装してしまった

よくある失敗です。要望は症状として扱ってください。3人以上が同じことを言ったときだけ、素直に受けます。

直したのに同じことを言われる

直した場所が症状で、原因は別のところにあります。上の表を見直してください。

感想が集まりすぎて処理できない

分類と集計をAIに渡してください。人がやるのは「どれを直すか決める」だけにします。

Windows の場合

差はありません。

次の一歩

3人に遊んでもらって、質問された内容をメモしてください。

そして一番多かったものを1つだけ直してください。全部直さないのが、この術のコツです。

言葉が集まるようになりました。次は、作ったものを人に見せる形に変えます!

術の一覧へ戻る

メルマガ(無料)忖度なしのAI事情を、メールでお届けします。ご登録の方に、プレゼントをお渡ししています