第9章 運営と改善/5 本目 / 全 5/約20分

続けられる仕組みにする

こより

止まる原因はやる気じゃなく、次が分からないこと。終わりに次の一手を1行だけ残しておこう!

案内役 こより
この術でできるようになること

手が止まっても再開できる

なぜ要るか

最後の術です。ここまでの全部を無駄にする原因が1つあります。止まったまま戻らないこと。

そして止まる理由は、やる気ではありません。次に何をやるか分からなくなるからです。

3日空くと、こうなります。

どこまでやったか思い出せない
     ↓
思い出す作業から始めないといけない
     ↓
面倒になって開かない
     ↓
さらに空く

この連鎖を止める仕組みを作ります。 気力に頼りません。

使う道具: なし(記録と、7章で作った仕組み)

AIプロンプト

この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。

progress.md と git log --oneline -20 を読んで、前回どこまでやったかを3行でまとめて。次の一手の候補を1つだけ、開いてすぐ手が動く粒度で提案して。

progress.md の部分は、手順2で決めた自分の置き場のファイル名に置き換えてください。git log --oneline -20 は、1-4で残してきた保存の履歴を、直近20件だけ1行ずつ並べるコマンドです。自分の記録とあわせて読ませることで、「書いたこと」と「実際にやったこと」の両方から思い出してもらえます。

「次にやること」を必ず書いて終わります

これが一番効きます。作業の終わりに、次の一手を1行書く。

7-5でAI社員に持ち場を渡したとき、同じことをしました。

status   いまの状態
summary  何をしたか
next     次にやること      ← これ

next は「次にやること」の欄です。AI社員は、この欄を読んで次の作業を始めます。だから next が空だと、その持ち場は止まります。 人間も同じです。

書く内容は具体的にします。

駄目な書き方 良い書き方
続きをやる 6-3の履歴の丸に、出した札も出す
バグを直す 音を止めるボタンが2回目に効かないのを直す
改善する 感想で一番多かった「音の出し方が分からない」を直す

開いた瞬間に手が動く粒度にしてください。考えないと始められない書き方だと、また止まります。

記録の置き場を1つにします

6章から繰り返している「正は1つ」を、進捗にも当てます。正とは、同じことが2箇所に書かれているときに「こちらを信じる」と決めた側のことです。置き場が2つあると、どちらが最新か分からなくなって、結局どちらも見なくなります。

僕は記録の置き場を1つに決めています。中身はこうです。

種類 何を入れるか
記録 やったこと
進捗 どこまで進んだか
決定 決めたこと(あとで理由を思い出すため)
学び 失敗して分かったこと
詰まり いま止まっている理由

いまの量はこうです。

記録   197件
進捗   133件
決定     9件
学び    10件
詰まり   2件

「決定」があるのが要点です。 3か月後に「なぜこうしたんだっけ」となったとき、ここを見れば分かります。理由を書いておかないと、同じ議論をもう一度します。

そして詰まりを書ける場所を用意してください。 止まっているのを隠すと、戻るのが難しくなります。

学びは理由まで書きます

これは7-5でも書きましたが、続ける観点でも重要です。

僕の記録に入っている学びは、こういう形です。

・記事の結びはテンションを上げて締める
  → 中間の文まで無理に上げると読みにくい

・書く前に狙い(何を動かすか、成功条件、中止条件)を宣言する
  → 言われたことをそのまま形にすると、判定できないものが出る

・基準の数字は実データから都度取る
  → 過去の会話の数字を使い回すと、古い前提で判断してしまう

「→」の後ろが理由です。 理由が無い決まりは、状況が変わったときに守るべきか判断できません。

全部、一度失敗して分かったことです。 失敗を記録に変えると、同じ失敗が減ります。

勝手に進む部分を作ります

やる気に頼らない方法がもう1つあります。自分が寝ている間に進む部分を持つこと。

7-3で作った定期実行がそれです。定期実行とは、決めた時刻になったら機械が勝手にコマンドを走らせる仕組みのことです。自分が忘れていても動きます。僕は9本を毎日回しています。

0:15  情報を集める
0:35  数字を集める
2:00  溜まったものを取り込む
(以下、時刻をずらして続く)

これは「続ける」の外側にあります。 自分が止まっても、集める作業は止まりません。だから再開したときに、材料が溜まっています。

材料が溜まっていると、再開が軽くなります。 何も無い状態から始めるより、集まったものを見る方が手が動きます。

止まってもいい設計にします

大事なので書きます。止まらない人になろうとしないでください。 止まります。

代わりに、止まっても壊れない形にします。

止まったときに壊れるもの 壊れない形
毎日やる約束 週1回でも回る形にする
全部を頭に入れておく 記録に置いて、頭から出す
自分しかできない作業 AIへ渡せる形にする(7章)
途中の状態が消える 保存して再開できる(6-4)

4番目は、この講座で実際に作りました。 6-4のセーブは、ゲームの機能でもあり、作る側の続け方の話でもあります。

三つの的では、遊ぶ側の再開も同じ形にしてあります。6-10で勝ち数を残して、3勝で切紙、10勝で目録、25勝で免許皆伝の免状が出るようにしました。切紙・目録・免許皆伝は、昔の武芸の伝授で使われた段位の名前で、この順に上がっていきます。勝ち数が残るので、閉じても「切紙まであと1勝」から続けられます。選んだ手心(相手の強さ)も残るので、次に開いたときに前の続きから始まります。

完成を待たずに出します

続けるうえで、これが一番効いています。

この講座のサイトは、記事が19本の時点で公開しました。 いまは44本です。

完成してから出す 出しながら作る
出す日が来ない 出した瞬間から感想が来る
感想が無いので方向が分からない 感想が次の一手になる(9-2)
止まると全部が止まる 止まっても公開分は生きている

8-5で書いたとおり、条件は「直せる形になっているか」だけです。

そして出しておくと、止まったときに罪悪感が減ります。 出ていないものを抱えて止まるのが、一番しんどい状態です。

やってみる

  1. 今日の作業の最後に1行書く

    次: 6-3の履歴の丸に、出した札の数字も出す
    

    これだけです。 場所はどこでも構いません。

  2. 置き場を1つ決める

    ファイル1つで十分です。分けないことだけ守ってください。 種類ごとにファイルを分けると、書くときにどこへ書くか迷って、迷った時点で書かなくなります。

    progress.md
      やったこと / 次にやること / 詰まっていること
    
  3. 失敗したら学びを1行足す

    理由まで書いてください。

    ・公開直後に確認しても古いものが返る
      → 数十秒待ってから見る(8-1)
    
  4. 週1回でいいと決める

    毎日やる約束にしないでください。守れない約束は、破ったときに止まる原因になります。

  5. 3日空いたら、記録だけ読む

    作業しなくていいです。読むだけにしてください。読むと、たいてい手が動きます。

    読むのすら重い日は、思い出す作業をAIへ渡します。

    claude -p "progress.md と git log --oneline -20 を読んで、前回どこまでやったかを3行でまとめて。次の一手の候補を1つだけ、開いてすぐ手が動く粒度で提案して。"
    

    候補は1つだけ頼むのが要点です。 3つ出されると、選ぶ作業でまた止まります。

  6. 保存する

    git add .
    git commit -m "進捗の置き場を決めて、次の一手を書くようにした"
    git push
    

つまずきどころ

書くのが面倒

1行でいいです。「次: 〇〇」だけにしてください。書式を作ると続きません。

記録が増えすぎて読めない

読むのは直近だけで構いません。古い記録は探すためにあります。 全部読む必要はありません。

3日空いたら再開できなかった

next が具体的でなかった可能性が高いです。「続きをやる」ではなく、開いてすぐ手が動く粒度に書き直してください。

完璧に記録しようとして疲れた

記録は目的ではありません。再開できればいいだけです。 抜けても構いません。

やる気が出ない

やる気の問題として扱わないでください。次の一手が具体的かを先に見てください。ほとんどはそこです。

続けているのに成果が出ない

9-1で書いた「増減の理由を1つ書く」をやっていますか。記録だけあって仮説が無いと、続けても方向が変わりません。

Windows の場合

差はありません。

次の一歩

今日の作業の最後に、次の一手を1行書いてください。

それだけで、次に開いたときの入口ができます。この1行が、続けるための唯一の仕掛けです。


ここまで来たあなたへ

これで9章、公開している全部の術が終わりです。

最初は数字だけの画面でした。いまは、キャラが息をして、音が鳴り、勝敗の演出が入り、データでルールを持ち、続きから遊べて、記録が残り、勝率を測れて、公開されていて、感想を集めて直せる状態になっています。

そして何より、作り方をAIへ渡せるようになりました。

この講座の狙いは、ゲームを1本作ることではありませんでした。 「自分で次を試せる人」になることでした。

次に作るものは、もうこの講座に書いてありません。あなたが決めてください。 術は増やしていきますが、あなたはもう待たなくていいです。

作ったら見せてください。それが一忍前の証です!

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