なぜ要るか
URLができました。あとは人に見せるだけです。
でも、ここで1回止まってください。作った本人は、初見の人が詰まる場所を踏みません。 音の出し方を知っているし、押せる場所も分かっているからです。
この術は、自分の思い込みを1回だけ外すための手順です。
使う道具: なし(ここまでで作った確認の仕組み)
AIプロンプト
この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。
https://<自分のURL> を公開先チェックして。開くか、public/ にある画像が公開先でも同じ大きさで返るか、今日足した文字が本文に含まれているか。結果を表で出して。
<自分のURL> の部分は、自分が公開したURLに置き換えてください。
機械が見るものと、人が見るもの
分けます。混ぜると、どちらも中途半端になります。
| 誰が見るか | 見るもの |
|---|---|
| 機械 | 壊れていないか(テスト、型、データの整合、リンク切れ) |
| 人 | 初見で詰まらないか(分かるか、鳴るか、押せるか) |
機械が見る部分は7-3で自動化しました。 この術は、その上に乗せる人の目の話です。
順番はこうです。
1. 生成物を作り直す
2. 型とテストを通す ← 機械
3. 公開する
4. 公開先で確認する ← 機械+人
1番の生成物とは、手で書いたファイルから機械が作り出したファイルのことです。この講座のサイトなら、記事のファイルから作った表示用のデータがそれです。元を直しても、作り直さないと古いものが公開されます。 2番の「型」は、数字を入れるはずの場所に文字が入っていないか、といった値の種類の食い違いを機械が見つける検査です。
公開先で確認します(手元ではなく)
ここが一番大事です。 手元で確認して公開する、ではなく、公開してから公開先を確認します。
理由は、手元と公開先で違うことが実際に起きるからです。8-1で書いた大文字小文字や、読み込みパスの問題は公開してからしか出ません。
僕が毎回やっている確認です。
| 確認 | やり方 |
|---|---|
| ページが開くか | URLを叩いて応答を見る |
| 画像が出るか | 手元のファイルと大きさが一致するかまで見る |
| 中身が新しいか | 追加した文字が含まれているか探す |
2番目は地味ですが効きます。「開ける」と「正しいものが出ている」は別です。画像は、URLを開けば何かは返ってきます。ただし返ってきたのが差し替える前の古い画像でも、画面には普通に出ます。だから、手元のファイルと大きさが同じかまで見ます。僕は画像が古いままだったことに、これで気づきました。
初見の人の目で見る7項目
ここまでの章で作ったものが、そのままチェック項目になります。
| 見るところ | 決めたのは |
|---|---|
| 音が勝手に鳴らないか | 5-1・5-2(既定は音が出ない) |
| 音の出し方が分かるか | 5-1(画面に入口がある) |
| 動きを止められるか | 5-4(動きを減らす設定に従う) |
| 絵に説明文があるか | 4-6(alt を書く) |
| スマホの幅で崩れないか | 4-6(画面幅に合わせる) |
| 押せる/押せないが分かるか | 6-3(色だけで区別しない) |
| 外から何も読み込んでいないか | 3-2(ネットが遅くても動く) |
太字の3つを優先してください。 音が勝手に鳴る、動きが止められない、スマホで崩れる。この3つはそのままタブを閉じられます。
見本ゲームの三つの的だと、この表はこう当たります。音が勝手に鳴らないかは、表紙で「はじめる」と「音なしではじめる」を選ばせる形で満たしています(6-9)。動きを止められるかは、動きを減らす設定のときに札の明滅や演出のアニメーションを止めています(6-8)。表には無い項目ですが、初見の詰まりには表紙の「🔰 あそびかた」ボタンを当てました。初回だけ自動で出る案内は、入り口が誰にも見えないという指摘を受けて足したものです(6-8)。
説明なしで1人に触ってもらう
機械のチェックが全部通っても、これだけは代わりがありません。
やり方はこれだけです。
1. 何も説明せずにURLを渡す
2. 黙って見る
3. 質問されたら、答える前にメモする
2番目が難しいです。 詰まっているのを見ると教えたくなりますが、そこで教えると、その詰まりが記録されません。 教えた瞬間にその人は先へ進めるので、次の人も同じ場所で詰まることに気づけません。直すべきなのは、その人ではなく画面の方です。
3番目のメモが、直す場所の一覧になります。6-3で「説明文を足したくなったら負け」と書いたのは、このメモを画面の改善へ回すためです。
実際に見つかったもの
今日この講座のサイトでやって、見つかった3件を出します。 どれも自動チェックか公開先確認で捕まえました。
| 見つかったもの | どう見つけたか |
|---|---|
| 文字装飾が崩れて記号が本文に出ていた(公開済みの記事に4件) | 機械のチェックを追加したら落ちた |
| 図解1枚だけが表示されなかった | 公開先で画像の大きさを確認したら不一致 |
| 新しい記事が一時的に404だった | 公開直後に確認して、待って再確認 |
1件目が重い教訓です。 目で何度も読んだ記事に、4箇所も残っていました。人の目で読んで大丈夫だったものは、大丈夫ではありません。
だから7-3で書いたとおり、見つけたものは機械のチェックへ移します。 この3件のうち1件目は、その日にテストへ移しました。
やってみる
生成物を作り直してから公開する
npm run build # 生成物がある場合 npm run deploy # 中で型とテストが走る1行目で表示用のデータを作り直し、2行目で公開します。2行目の中では、7-3で作った関門として型とテストが先に走るので、壊れていればここで止まります。
手元の古い生成物のまま公開するのが、よくある事故です。
公開先を4点で確認する
# 開くか curl -s -o /dev/null -w '%{http_code}\n' https://<自分のURL> # 画像が正しいか(手元と大きさが一致するか) curl -s https://<自分のURL>/char.png | wc -c ls -l public/char.png1つめの
curlは、ブラウザを使わずにURLを開いて、返ってきた番号だけを表示します。200なら開けています。404なら見つかっていません。2つめは、公開先の画像を取ってきてwc -cでその大きさ(バイト数)を数え、ls -lで手元のファイルの大きさと見比べています。一致しなければ、古いものが返っています。 8-1の待ちの話を思い出してください。
毎回この確認をするなら、確認ごとAIへ渡せます。
claude -p "https://<自分のURL> を公開先チェックして。開くか、public/ にある画像が公開先でも同じ大きさで返るか、今日足した文字が本文に含まれているか。結果を表で出して。"7-1の形にすれば、次からは1コマンドです。
スマホで開く
これは省略しないでください。 手元のブラウザでは見つからない崩れが出ます。
7項目を上から見る
上の表をそのまま使ってください。太字の3つだけでも構いません。
1人に説明なしで渡す
質問をメモします。その場で直さないでください。 メモしてから直します。
メモを1つ直して、また公開する
全部直さなくていいです。一番多く聞かれたものを1つ直します。
保存する
git add . git commit -m "公開前チェックで見つかった点を直した" git push
「公開してから直す」でいいです
最後にこれを書いておきます。完璧にしてから公開しようとすると、公開できません。
僕はこの講座のサイトを、記事が19本の時点で公開しました。 いまは55本ですが、増やしながら公開し続けています。
大事なのは完璧さではなく、直せる形になっているかです。
| 直せる形の条件 | どこで作ったか |
|---|---|
| 壊れたら気づける | 7-2(テスト) |
| 公開前に止まる | 7-3(関門) |
| すぐ直して出せる | 8-1(1コマンドで公開) |
| 戻せる | 1-4(Git) |
この4つが揃っていれば、公開は怖くありません。 見つかったら直せばいいだけです。
逆に、この4つが無いまま公開すると、直すのが怖くなって放置されます。7章までやってきたのは、このためでした。
つまずきどころ
確認項目が多くて面倒になった
太字の3つ(音・動き・スマホ幅)だけにしてください。やらない確認より、3つやる確認の方が価値があります。
公開先で古いものが返る
8-1の待ちです。数十秒待って、URLの末尾に ?x=1 を付けて確認してください。
手元では崩れないのにスマホで崩れる
横幅の指定が固定値になっていないか見てください。4-6で書いた min(240px, 45vw) のような書き方に直します。
人に渡したら「何をするゲームか分からない」と言われた
タイトルと1行の説明が足りていません。 2-2で決めた「面白さの1行」を、そのまま画面に置いてください。
指摘されすぎて心が折れた
初見の指摘は、たいてい同じ場所に集まります。 数を数えて、多い順に1つずつ直してください。全部が同じ重さではありません。
公開が怖い
上の「直せる形の条件」を4つ確認してください。揃っていれば、失敗しても戻せます。 揃っていないなら、そこを先に作る方が早いです。
Windows の場合
curl は PowerShell でも使えます。使えない場合はブラウザで開いて確認してください。
次の一歩
説明なしで1人に渡して、質問された数を数えてください。
0なら公開して構いません。1つ以上あれば、一番多かった質問が次に直す場所です。
これで公開まで来ました。あなたの作ったものは、いま他人が触れる場所にあります。 次の章では、遊ばれ方を見ながら育てていきます!