第8章 公開の仕方/5 本目 / 全 5/約20分

公開前の最終チェック

こより

作った人は、初見の詰まりを踏まないよ。音と動きとスマホの幅、この三つを先に見て!

案内役 こより
この術でできるようになること

初見の人が詰まらない

なぜ要るか

URLができました。あとは人に見せるだけです。

でも、ここで1回止まってください。作った本人は、初見の人が詰まる場所を踏みません。 音の出し方を知っているし、押せる場所も分かっているからです。

この術は、自分の思い込みを1回だけ外すための手順です。

使う道具: なし(ここまでで作った確認の仕組み)

AIプロンプト

この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。

https://<自分のURL> を公開先チェックして。開くか、public/ にある画像が公開先でも同じ大きさで返るか、今日足した文字が本文に含まれているか。結果を表で出して。

<自分のURL> の部分は、自分が公開したURLに置き換えてください。

機械が見るものと、人が見るもの

分けます。混ぜると、どちらも中途半端になります。

誰が見るか 見るもの
機械 壊れていないか(テスト、型、データの整合、リンク切れ)
初見で詰まらないか(分かるか、鳴るか、押せるか)

機械が見る部分は7-3で自動化しました。 この術は、その上に乗せる人の目の話です。

順番はこうです。

1. 生成物を作り直す
2. 型とテストを通す        ← 機械
3. 公開する
4. 公開先で確認する        ← 機械+人

1番の生成物とは、手で書いたファイルから機械が作り出したファイルのことです。この講座のサイトなら、記事のファイルから作った表示用のデータがそれです。元を直しても、作り直さないと古いものが公開されます。 2番の「型」は、数字を入れるはずの場所に文字が入っていないか、といった値の種類の食い違いを機械が見つける検査です。

公開先で確認します(手元ではなく)

ここが一番大事です。 手元で確認して公開する、ではなく、公開してから公開先を確認します。

理由は、手元と公開先で違うことが実際に起きるからです。8-1で書いた大文字小文字や、読み込みパスの問題は公開してからしか出ません。

僕が毎回やっている確認です。

確認 やり方
ページが開くか URLを叩いて応答を見る
画像が出るか 手元のファイルと大きさが一致するかまで見る
中身が新しいか 追加した文字が含まれているか探す

2番目は地味ですが効きます。「開ける」と「正しいものが出ている」は別です。画像は、URLを開けば何かは返ってきます。ただし返ってきたのが差し替える前の古い画像でも、画面には普通に出ます。だから、手元のファイルと大きさが同じかまで見ます。僕は画像が古いままだったことに、これで気づきました。

初見の人の目で見る7項目

ここまでの章で作ったものが、そのままチェック項目になります。

見るところ 決めたのは
音が勝手に鳴らないか 5-1・5-2(既定は音が出ない)
音の出し方が分かるか 5-1(画面に入口がある)
動きを止められるか 5-4(動きを減らす設定に従う)
絵に説明文があるか 4-6(alt を書く)
スマホの幅で崩れないか 4-6(画面幅に合わせる)
押せる/押せないが分かるか 6-3(色だけで区別しない)
外から何も読み込んでいないか 3-2(ネットが遅くても動く)

太字の3つを優先してください。 音が勝手に鳴る、動きが止められない、スマホで崩れる。この3つはそのままタブを閉じられます。

見本ゲームの三つの的だと、この表はこう当たります。音が勝手に鳴らないかは、表紙で「はじめる」と「音なしではじめる」を選ばせる形で満たしています(6-9)。動きを止められるかは、動きを減らす設定のときに札の明滅や演出のアニメーションを止めています(6-8)。表には無い項目ですが、初見の詰まりには表紙の「🔰 あそびかた」ボタンを当てました。初回だけ自動で出る案内は、入り口が誰にも見えないという指摘を受けて足したものです(6-8)。

説明なしで1人に触ってもらう

機械のチェックが全部通っても、これだけは代わりがありません。

やり方はこれだけです。

1. 何も説明せずにURLを渡す
2. 黙って見る
3. 質問されたら、答える前にメモする

2番目が難しいです。 詰まっているのを見ると教えたくなりますが、そこで教えると、その詰まりが記録されません。 教えた瞬間にその人は先へ進めるので、次の人も同じ場所で詰まることに気づけません。直すべきなのは、その人ではなく画面の方です。

3番目のメモが、直す場所の一覧になります。6-3で「説明文を足したくなったら負け」と書いたのは、このメモを画面の改善へ回すためです。

実際に見つかったもの

今日この講座のサイトでやって、見つかった3件を出します。 どれも自動チェックか公開先確認で捕まえました。

見つかったもの どう見つけたか
文字装飾が崩れて記号が本文に出ていた(公開済みの記事に4件 機械のチェックを追加したら落ちた
図解1枚だけが表示されなかった 公開先で画像の大きさを確認したら不一致
新しい記事が一時的に404だった 公開直後に確認して、待って再確認

1件目が重い教訓です。 目で何度も読んだ記事に、4箇所も残っていました。人の目で読んで大丈夫だったものは、大丈夫ではありません。

だから7-3で書いたとおり、見つけたものは機械のチェックへ移します。 この3件のうち1件目は、その日にテストへ移しました。

やってみる

  1. 生成物を作り直してから公開する

    npm run build   # 生成物がある場合
    npm run deploy  # 中で型とテストが走る
    

    1行目で表示用のデータを作り直し、2行目で公開します。2行目の中では、7-3で作った関門として型とテストが先に走るので、壊れていればここで止まります。

    手元の古い生成物のまま公開するのが、よくある事故です。

  2. 公開先を4点で確認する

    # 開くか
    curl -s -o /dev/null -w '%{http_code}\n' https://<自分のURL>
    
    # 画像が正しいか(手元と大きさが一致するか)
    curl -s https://<自分のURL>/char.png | wc -c
    ls -l public/char.png
    

    1つめの curl は、ブラウザを使わずにURLを開いて、返ってきた番号だけを表示します。200 なら開けています。404 なら見つかっていません。2つめは、公開先の画像を取ってきて wc -c でその大きさ(バイト数)を数え、ls -l で手元のファイルの大きさと見比べています。

    一致しなければ、古いものが返っています。 8-1の待ちの話を思い出してください。

    毎回この確認をするなら、確認ごとAIへ渡せます。

    claude -p "https://<自分のURL> を公開先チェックして。開くか、public/ にある画像が公開先でも同じ大きさで返るか、今日足した文字が本文に含まれているか。結果を表で出して。"
    

    7-1の形にすれば、次からは1コマンドです。

  3. スマホで開く

    これは省略しないでください。 手元のブラウザでは見つからない崩れが出ます。

  4. 7項目を上から見る

    上の表をそのまま使ってください。太字の3つだけでも構いません。

  5. 1人に説明なしで渡す

    質問をメモします。その場で直さないでください。 メモしてから直します。

  6. メモを1つ直して、また公開する

    全部直さなくていいです。一番多く聞かれたものを1つ直します。

  7. 保存する

    git add .
    git commit -m "公開前チェックで見つかった点を直した"
    git push
    

「公開してから直す」でいいです

最後にこれを書いておきます。完璧にしてから公開しようとすると、公開できません。

僕はこの講座のサイトを、記事が19本の時点で公開しました。 いまは55本ですが、増やしながら公開し続けています。

大事なのは完璧さではなく、直せる形になっているかです。

直せる形の条件 どこで作ったか
壊れたら気づける 7-2(テスト)
公開前に止まる 7-3(関門)
すぐ直して出せる 8-1(1コマンドで公開)
戻せる 1-4(Git)

この4つが揃っていれば、公開は怖くありません。 見つかったら直せばいいだけです。

逆に、この4つが無いまま公開すると、直すのが怖くなって放置されます。7章までやってきたのは、このためでした。

つまずきどころ

確認項目が多くて面倒になった

太字の3つ(音・動き・スマホ幅)だけにしてください。やらない確認より、3つやる確認の方が価値があります。

公開先で古いものが返る

8-1の待ちです。数十秒待って、URLの末尾に ?x=1 を付けて確認してください。

手元では崩れないのにスマホで崩れる

横幅の指定が固定値になっていないか見てください。4-6で書いた min(240px, 45vw) のような書き方に直します。

人に渡したら「何をするゲームか分からない」と言われた

タイトルと1行の説明が足りていません。 2-2で決めた「面白さの1行」を、そのまま画面に置いてください。

指摘されすぎて心が折れた

初見の指摘は、たいてい同じ場所に集まります。 数を数えて、多い順に1つずつ直してください。全部が同じ重さではありません。

公開が怖い

上の「直せる形の条件」を4つ確認してください。揃っていれば、失敗しても戻せます。 揃っていないなら、そこを先に作る方が早いです。

Windows の場合

curl は PowerShell でも使えます。使えない場合はブラウザで開いて確認してください。

次の一歩

説明なしで1人に渡して、質問された数を数えてください。

0なら公開して構いません。1つ以上あれば、一番多かった質問が次に直す場所です。

これで公開まで来ました。あなたの作ったものは、いま他人が触れる場所にあります。 次の章では、遊ばれ方を見ながら育てていきます!

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