なぜ要るか
任せる量が増えると、費用が増えます。 ここまでの術を全部やると、確実にそうなります。
そして厄介なのは、気づくのが請求のときだということです。作っている最中は「うまく進んでいる」としか感じません。
この術でやるのは1つです。作業の種類ごとに、使うAIを決めておく。
使う道具: Claude Code、Codex
AIプロンプト
この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。
下は今週やる作業の一覧です。それぞれを「判断(計画を変える)」と
「実行(計画の中の決まった作業)」に分類してください。迷うものは判断側へ。
(ここへ作業の一覧を貼る)
(ここへ作業の一覧を貼る)の部分は、自分がいま抱えている作業の一覧に置き換えてください。
高いのは「考える時間」です
先に仕組みを押さえます。AIの費用は、だいたいこの3つで決まります。
| 要素 | 何か |
|---|---|
| どのモデルか | 賢いモデルは高い |
| どれだけ読むか | 渡した資料の量 |
| どれだけ考えるか | 長く考えるほど高い |
モデルというのは、AIの頭脳そのものの種類です。Claude Code のような道具は入れ物で、その中で使う頭脳を切り替えられます。賢い頭脳ほど1回あたりの料金が高く、代わりに難しい判断ができます。
この3つのうち、いちばん効くのはモデルの選択です。 同じ作業でも、選ぶモデルで大きく変わります。
だから決めるべきは「どの作業に、どの賢さを使うか」です。
判断と実行を分けます
僕が使っている分け方です。作業を2種類に分けるだけです。
| 種類 | 中身 | 使うモデル |
|---|---|---|
| 判断 | 計画、設計、方針、レビュー、振り返り | いちばん賢いもの |
| 実行 | 決まったことを作る、直す、測る、まとめる | その下 |
判断だけに上位を使います。
理由は単純です。判断を間違えると、実行の全部が無駄になります。 設計を間違えたまま安いモデルで大量に作っても、作り直しです。
逆に、決まったことを作る作業は、上位である必要がありません。 6-1のデータ化、6-2の書き換え、7-2のテスト作成。どれも「何をするか」が決まっていれば、実行の質はあまり変わりません。
迷ったときの振り分けはこうします。
計画を変える判断 → 上位
計画の中の作業 → 下位
道具ごとに向きがあります
モデルの賢さとは別に、道具にも向き不向きがあります。
僕の使い分けはこうです。
| 道具 | 向いている作業 |
|---|---|
| Claude Code | 見た目を作る。画面、演出、デザイン |
| Codex | 量をこなす。書き換え、測定、繰り返し。絵の生成もこちら |
4-1で絵を Codex に頼んでいるのは、この講座で唯一の画像生成の入口がそこにあるからです。1-6で決めた方針をそのまま使っています。
「どちらが優れているか」ではありません。 得意な場所が違うだけです。
見本ゲームの三つの的では、実際にこう配りました。
| 作ったもの | 使ったもの |
|---|---|
| こよりの1枚絵、瞬きと口パクの差分 | Codex の画像生成(4-1・4-3) |
| 画面、演出、紋と札の見た目 | Claude Code(5-5・6-8・6-9) |
| こよりの声 | ElevenLabs(5-3) |
| BGM 1本 | Suno(5-2) |
| 効果音 | 道具なし。ブラウザで合成(5-1) |
絵だけ道具が違うのは、上の表のとおり画像生成の入口が Codex にあるからです。 音は種類ごとに向いた場所へ寄せていて、効果音だけは生成せずブラウザで鳴らしています。
費用が跳ねるのは、AI以外にもあります
見落としがちですが、この講座で一番お金が減るのはAIの利用料ではありません。
| 費用がかかるもの | 実際にかかるもの |
|---|---|
| 3Dモデルの生成 | 1回ごとにクレジットを消費(4-4) |
| GPUを借りる処理 | 時間単位で課金。1キャラ数百円(4-2の透過やレイヤー分解) |
| 音や動画の生成 | 生成ごと |
| 置き場と配信 | 少額だが継続 |
用語を2つ補います。クレジットは、そのサービスの中で使う前払いの持ち点です。GPUは、絵や3Dの重い計算を高速にこなす部品で、手元のパソコンに無い場合は時間単位で借りて使います。借りている間ずっと料金が発生するのが、他と違う点です。
4-4でこう書きました。
入力画像を目で見て納得する。それから生成を叩く。
3を飛ばさないでください。ここが一番効く節約です。
これが全部に当てはまります。生成を叩く前に止まる。 一番効く節約は、賢いモデル選びより「無駄な生成をしないこと」です。
GPUを借りる場合はもう1つあります。使い終わったら消す。
必要なときに作る → 使う → 成果物を回収する → 消す
止めるだけでは課金が続きます。 消すまでやってください。僕はこれを止め忘れて余分に払いました。
上限を決めます
節約より確実なのは、上限を決めることです。
| 決めること | 例 |
|---|---|
| 1日に使う上限 | ここを超えたら明日にする |
| 生成の回数 | 3Dの生成は1日5回まで |
| 借りる時間 | GPUは2時間まで |
守れる数字にしてください。 守れない上限は無いのと同じです。
そして測る口を作ります。 測る口とは、使った金額や回数を1日1回どこかへ書き出しておく仕組みのことです。使った量が見えないと、上限は機能しません。7-3で作った定期実行と同じ形で、日に1回集計するだけで十分です。
やってみる
いまやっている作業を2つに分ける
紙に書いて構いません。判断と実行に分けます。
判断: 次に何を作るか決める / 設計を決める / 出来を評価する 実行: 書く / 直す / 測る / まとめる分類の下書き自体もAIにやらせられます。
下は今週やる作業の一覧です。それぞれを「判断(計画を変える)」と 「実行(計画の中の決まった作業)」に分類してください。迷うものは判断側へ。 (ここへ作業の一覧を貼る)「迷ったら判断側へ」が要点です。 実行を上位に回す無駄より、判断を下位に回す事故の方が高くつきます。
判断のときだけ上位モデルにする
使っている道具のモデル切り替えを確認してください。切り替え方を知らないと、この術は実行できません。 たいていは設定画面か、専用のコマンド1つで切り替えられます。使っている道具の説明を、1回だけ見ておいてください。
実行を下位へ回して、質が落ちるか見る
ここが大事です。実際に試してください。
落ちなければ、その作業はずっと下位で構いません。落ちたら戻します。勘で決めず、1回試して決めます。
生成を叩く前に止まる習慣をつける
絵、3D、音、動画。入力を目で見て納得してから叩きます。
入力を確認 → 生成 → 結果を確認 → 次の入力を直すGPUを使ったら消す
作る → 使う → 回収する → 消す回収とは、借りた場所で作った成果物を自分のパソコンへ持ってくることです。消すと、その場所にあったものは全部なくなります。
回収より先に消さないでください。 成果物が消えます。
1週間の上限を1つ決める
何でも構いません。「3Dの生成は週10回まで」でも十分です。決めた数字を紙に書いて見える場所へ置いてください。
つまずきどころ
上位モデルでないと不安
分かります。ただし不安と必要は別です。 1回、実行を下位に回して比べてください。差が無ければ、それが答えです。
下位に回したら質が落ちた
その作業は判断が混ざっています。「何をするか」が決まっていない作業は、実行ではなく判断です。分け方を見直してください。
気づいたら請求が想定を超えていた
測る口がありません。使った量が見えない状態では、節約は運任せです。 日に1回でいいので集計してください。
生成をやり直し続けている
入力が雑です。4-4と同じで、出力を直すより入力を直す方が速いです。
GPUを止めたのに課金が続いている
止めただけでは保管の費用が残ります。消してください。 環境を作り直せるなら、使い捨てにするのが安いです。
節約が目的になって進まなくなった
これが一番もったいない状態です。上限を決めたら、その中では気にせず使ってください。 判断に上位を使うのは投資です。そこを削ると全体が遅くなります。
Windows の場合
モデルの切り替え方は道具ごとに同じです。差はありません。
次の一歩
「判断」と「実行」に分けた表を作って、机の見える場所に置いてください。
そして次に何かを頼むとき、どちらなのかを一瞬考えてから頼んでください。1週間続けると、考えなくても振り分けられるようになります。
これで7章は終わりです。作業をスキルにして、壊れたら気づける形にして、確認を自動で回して、席を外しても進むようにして、担当を分けて、費用を決めた。作るのを手伝ってもらう段階から、作る仕組みを持つ段階へ来ました。 次の章では、いよいよ他人が遊べる場所へ公開します!