第2章 企画の立て方/1 本目 / 全 6/約15分

作りたいものを1画面に削る

こより

増やすより、削るほうが早いよ。写真一枚に遊びの全部が写ったら、それが最初の一本だね。

案内役 こより
この術でできるようになること

1画面の企画メモができている

画像は押すと原寸で開きます。

これから作る三つの的

これからこのゲームを事例に、一緒にゲームを創っていきます。見本ゲーム「三つの的」です。下にあるのは6章まで進めた完成形。そのまま遊べます。まず1回遊んで、目的地を体で知ってから読み進めてください。

別の画面でこのゲームを開く

なぜ要るか

道具は揃いました。ここからは何を作るかです。

最初にやることは、作りたいものを削ることです。 増やすのではありません。削ります。

理由はひとつです。大きい企画は完成しないからです。 「オンライン対戦で、キャラが育って、ランキングもあって」という企画は、9割が途中で止まります。手が止まった企画は0点です。小さくても遊べる方が、比べものにならないくらい価値があります。

だから最初の1本は1画面にします。画面が1つなら、迷子になりません。

AIプロンプト

この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。

下の企画を、1画面で遊びが完結する形へ削る案を3つください。
それぞれ「画面にあるもの4〜6行」と「一番おいしい30秒はどこか」を添えて。
(ここへ企画を貼る)

(ここへ企画を貼る)の部分は、自分の企画の文章に置き換えてください。

1画面に削るとは

「画面を切り替えずに、そこで遊びが完結する」という意味です。

こう考えると分かりやすいです。スマホの写真1枚に、ゲームの全部が写るか。 写るなら1画面です。

例を出します。

1画面で成立する 画面が増えるもの
じゃんけん、数字の勝負 メニュー→ステージ選択→本編
パズルを1面だけ ワールドマップを歩く
クリック連打の記録 会話シーンとバトルの切り替え

タイトル画面もメニューも、今は要りません。 あとで足せます。

実例: 大きさのちがう3本、ぜんぶ1画面

抽象論で終わらせたくないので、実際に僕が作って公開しているものを3本見てください。大きさはまったく違いますが、全部1画面です。

1本目は、この講座の見本ゲーム「三つの的」です。 3章から、あなたと同じ手順でこれを作っていきます。

三つの的の対戦画面。相手の伏せ札、的が3つ、自分の手札、合計とリード表示までが縦1画面に収まっている

スマホの写真1枚に、遊びの全部が写っています。相手の伏せ札(裏向きに置かれて中身が見えない札)、的が3つ、自分の手札、どちらがリードしているか。手札3枚と的3つと勝敗表示だけでも、遊びは成立するという実物です。

2本目は忍術ラボ。 素材をスワイプで重ねて熟成させる、2048型のパズルです。2048型とは、同じもの同士がぶつかると1つ上のものに変わっていく、あの積み上げ系パズルのことです。

https://ninlabo.kenty.app

忍術ラボの入口。素材をスワイプで重ねて熟成させる2048型の研究パズルとあり、下に素材の盤が見えている

キャラも演出もにぎやかですが、遊びの中心は素材を重ねる盤ひとつです。にぎやかさと画面の数は別の話だ、ということです。

3本目がいちばん大きい、CNPトレカです。

https://tcg.kenty.app

CNPトレカアプリの対戦画面。相手ユニット、拠点3つ、自分のユニット、手札が1画面に並んでいる

要素はかなり多いです。相手のユニット、相手のサポート、拠点が3つ、自分のサポート、自分のユニット、手札5枚、ターンエンドのボタン。それでも対戦中は画面が切り替わりません。 全部この1枚に収まっています。

ここが大事なところです。1画面とは、要素が少ないことではありません。 遊びがそこで完結していて、途中で別の画面へ飛ばされないことです。CNPトレカがこの情報量を1画面に押し込んでいるのは、対戦の途中で画面が変わると読み合いが途切れるからです。次の術で決める「面白さ」を守るために、1画面にしています。

あなたの最初の1本は、この3本のいちばん小さいやつ——三つの的の大きさから始めます。

やってみる

  1. 企画メモを置く場所を作る

    1-6で作ったリポジトリの中へ移動します。企画メモも、道具のメモと同じ場所に置いておくためです。

    cd my-first-game
    
  2. docs/plan.md を作って、4つだけ書く

    1-6で作った docs フォルダの中に、plan.md という名前で新しく作ります。これが企画メモになります。多く書かないでください。この4つで十分です。

    # 企画メモ
    
    ## 何を作るか
    1画面で遊べる、2人用のカードゲーム。
    
    ## 1画面に何があるか
    - 相手の手札(裏向き。枚数だけ見える)
    - 的が3つ(それぞれに、相手の置いた札と自分の置いた札が並ぶ)
    - 自分の手札 3枚
    - 勝敗の表示
    
    ## 誰と遊ぶか
    目の前にいる友達と、1台のパソコンで交代しながら。
    

    この例は、そのまま見本ゲーム三つの的の企画メモです。上の実例で見た画面は、この4項目から始まっています。

  3. 「1画面に何があるか」を4〜6行で書く

    ここがこの術の本番です。画面に見えるものだけを書きます。「楽しい演出」のような見えないものは書きません。

    6行を超えたら、それは1画面に収まっていません。削ってください。

  4. 保存して送り返す

    git add .
    git commit -m "企画メモを作った"
    git push
    
  5. 残ったことを確認する

    docs/plan.md に、画面にあるものと今回やらないことが箇条書きで並んでいる

    GitHubのページを再読み込みすると、docs フォルダの中に plan.md が並んでいます。これがこの先ずっと戻ってくる場所になります。迷ったらここを見ます。

つまずきどころ

削ると面白くなくなる気がする

逆です。削ると面白さが分かります。 要素が多いと、何が面白いのか自分でも見えません。1画面まで削って残ったものが、そのゲームの芯です。

アイデアが大きすぎて1画面にならない

「その企画の一番おいしい30秒」を切り出してください。遊んでいる人が一番楽しい瞬間はどこか、と考えることです。RPGなら戦闘の1回だけ。レースなら1コースだけ。それが最初の1本です。

自分では削れないときは、削る案をAIに出させます。

下の企画を、1画面で遊びが完結する形へ削る案を3つください。
それぞれ「画面にあるもの4〜6行」と「一番おいしい30秒はどこか」を添えて。
(ここへ企画を貼る)

候補を出させて、選ぶのは自分です。 どれを残すかの判断まで渡すと、自分の企画でなくなります。

2人用にすると難しくなりませんか

なります。次の術以降で、必要なら相手をコンピュータに変える判断もします。いまは「誰と遊ぶか」を書いておくだけで構いません。

Windows の場合

git コマンドは同じです。ファイル作成は PowerShell なら notepad docs\plan.md です。

次の一歩

書いた「1画面に何があるか」を、紙に手で描いてみてください。30秒の落書きで構いません。

絵にすると、足りないものと余っているものが一目で分かります。次の術では、この企画の面白さを1行にします!

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