なぜ要るか
8-1でゲームをURLに載せました。あれは「リンクを渡せば遊べる場所」です。渡さなければ誰も来ません。
Robloxは軸が違います。Robloxは、みんなが作ったゲームが1つのアプリの中に集まっている場所です。遊ぶ人はそのアプリを開いて、一覧や検索から遊ぶものを選びます。つまり、すでに人が遊んでいる場所の中に置きます。 配布とマルチプレイと課金が最初から付いてきます。
その代わり、作り方が別物になります。 ここを知らずに始めると、8-1まで作ったものが使えなくて止まります。
僕は1本、Robloxで公開しました。付けた名前は「あんね姫を助けよう!」です。
https://www.roblox.com/games/72066557690068
コインを集めて、だんご屋で三色団子を買って、神社のあんね姫に渡すとクリアの和風マップです。開くと Sakura Dango Quest と出ることがありますが、同じものです(理由は後で書きます)。
この術は、その1本を公開するまでにやったことで書きます。
使う道具: Roblox Studio / Meshy
AIプロンプト
この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。
いま手元にあるHTML1枚のゲームの中身を貼ります。これを Roblox で作り直す場合の整理をしてください。
1. そのまま持ち込めるもの、作り直しになるもの、捨てるものを表で分ける
2. Roblox 側での置き場(Experience / Place / スクリプトを置くサービス)を決める
3. 遊びの中心の操作を1つだけ動かす最小の構成を出す
公開条件や課金の手数料は、公式ドキュメントの該当ページのURLだけ示して、数値は書かないでください。
(ここへ index.html の中身を貼る)
最後の1行は、自分の index.html の中身に置き換えてください。
ブラウザ公開との違いは「人がいるか」
並べます。
| ブラウザ公開(8-1) | Roblox | |
|---|---|---|
| 遊ぶ人の入口 | 自分がURLを配る | Robloxの中の一覧や検索 |
| 遊ぶ側の準備 | ブラウザだけ | Robloxのアカウントが要る |
| マルチプレイ | 自分で中継の仕組みを作る | 最初から仕組みがある |
| 課金 | 自分で用意する(8-4) | プラットフォームの仕組みがある |
| 作り方 | HTML1枚 | Roblox Studio と Luau |
| ここまでの資産 | そのまま置ける | 作り直しになる |
| 公開までの手数 | コマンド1本 | 設定と質問票と条件の確認 |
マルチプレイと課金が魅力で、作り直しと手数が代償です。 どちらが大きいかは、作っているものによって変わります。
2行目も見てください。Robloxは遊ぶ側にもアカウントが要ります。 URLを開いただけでは遊べません。8-1のブラウザ公開より、渡した人が実際に遊ぶまでの段差は1つ高いです。
僕がCNPトレカで対戦の中継を自分で作ったのは、8-1に書いたとおり、そこだけ別の小さいサーバーへ切り出す判断をしたからです。Robloxならその部分は最初からあります。それが要るゲームなら、乗る価値があります。
何を作ったか
公開したものの中身を先に出します。
スタート 村エリア。WASDで動いてスペースで跳ぶ
道中 道にそってコインを拾う(約50枚)
寄り道 竹林のサイドルートにボーナスコイン
ショップ だんご屋で三色団子を買う
参道 鳥居の道を進んで神社へ
ゴール あんね姫に三色団子を渡してクリア
1行目の WASD は、キーボードのW・A・S・Dの4キーで前後左右に歩く操作のことです。Robloxではこの操作と跳ぶ動きが最初から用意されているので、自分で作る必要がありません。
この並びを、絵1枚に描いてから作りました。 上から見たマップの完成図に、スタート、コインの道、ショップ、参道、ゴールを全部書き込んだものです。2-2の「面白さの1行」を、地図の形にしたものだと思ってください。
先に地図を描いた効果は大きかったです。 Studioの中で3Dを置いていくと、どこまで作れば終わりなのかが分からなくなります。地図があると「今日はこの区間」と切れます。
絵と3Dは他の章の道具でそのまま作れました。
だんご屋の建物 Meshyで3Dを生成(4-4)
あんね姫のモデル Meshyで生成。待機・走り・喜びの3つのアニメも用意(4-4、4-5)
コイン 自分で作った3Dメッシュに古銭風のテクスチャ
BGMと効果音 mp3を用意して読み込む(5-1、5-2)
移せたのは絵と音と3Dでした。 HTMLとCSSとJavaScriptは1行も移せていません。
作り方が別物です(ここが判断の分かれ目)
3-2で「1ファイルで作る」と決めました。その形はRobloxへ持ち込めません。
Robloxは単位から違います。公式ドキュメントの言い方で並べると、こうなります。
Experience 公開する単位。サムネイル、説明、年齢向け設定、課金設定を持つ
Place マップやシーンに相当。ロビーや別ステージを分けられる
Assets 画像、音、3Dモデル、アニメーション、UI
画面の作り方も別です。 ブラウザのHTMLとCSSではなく、Studioの中のUIの部品を組みます。動きはLuauという言語で書きます。Luauは Roblox 用に作られた言語で、JavaScript とは書き方が違います。ここまでの章で書いてきたコードは、そのままでは通りません。
僕は手元のファイルをStudioへ同期する仕組み(Rojo)を入れて、エディタで書いてStudioで動かす形にしました。これは入れて良かったです。Studioの中だけでスクリプトを書くと、Gitで戻せません(1-4)。
そしてTypeScriptで書いてLuauへ変換する仕組み(roblox-ts)も試しました。コインの表示、ショップ、団子、ギフト、NPCのアニメの制御は、この形で書いています。
ここで1つ分かりました。「TypeScriptで書ける」は、知識の作り直しが無いという意味ではありませんでした。 書く言葉は同じでも、呼ぶ相手はRobloxの部品です。覚え直すのは言語ではなく、置き場と部品の名前でした。
だからコインを拾うところは、Luauを直に書きました。 変換をはさむより早かったからです。
「サーバー側」と「手元側」だけは先に覚えてください
Robloxで一番つまずいたのはここです。同じ処理を、どちら側に書くかで結果が変わります。
言葉の意味を先に。サーバー側とは、Robloxの機械の上で動いて、その部屋にいる全員に共通の結果を出す場所です。手元側とは、遊んでいる人それぞれの端末で動いて、その人にだけ見える結果を出す場所です。同じマップに20人いれば、サーバー側は1つ、手元側は20個動いていることになります。
僕のコインは2本のスクリプトに分かれています。
サーバー側 コインに触れたのが誰かを判定して、その人の枚数を1増やす
手元側 拾った演出を出して、そのコインをその人の画面から消す
なぜ分けるかというと、他の人のコインを消してはいけないからです。 20人が同じマップに入れる場所なので、僕が拾ったコインが全員から消えると、後から来た人の分がありません。
だから枚数の判定はサーバーが持ち、消すのは拾った本人の画面だけにしました。サーバーから本人だけへ合図を送って、受けた側が演出を出します。
この形は、ブラウザで1人用を作っているときには一度も要りませんでした。 Robloxに乗って初めて必要になった考え方です。逆に言えば、ここが要らないゲームなら、Robloxに乗る理由も薄いです。
公開の手順
僕が通った順に書きます。画面の名前は変わるので、細かい位置は書きません。
| 手順 | 中身 |
|---|---|
| 1 | Robloxのアカウントを作り、Roblox Studio を入れる |
| 2 | Studioで新しい Experience を作る(最初は白紙の土台から) |
| 3 | 遊べる状態まで作って、Studioのテスト機能で確認する |
| 4 | コンテンツ成熟度(年齢向け)とコンプライアンスの質問票に答える |
| 5 | 公開設定を一般公開へ変える |
3番目のテスト機能は、Studioの中でそのまま自分のゲームに入って遊べる仕組みです。公開しなくても、自分のキャラで歩いて、作ったところが動くかを確かめられます。
4番目が、ブラウザ公開には無い工程です。 ここを飛ばして一般公開はできません。暴力表現や課金があるかといった質問に、はい・いいえで答えていく形式です。答えた内容から「何歳向けか」が決まり、それが Experience の設定に入ります。先に答えを決めておくと1分で終わります。
さらに、一般公開そのものに条件が案内されています。
公式ドキュメントで案内されていた条件(2026-04-07 に確認した時点)
・アカウント作成から48時間以上たっていること
・その Experience の年齢向け設定と質問票を終えていること
・加えて、次のどちらかを満たすこと
- 本人確認済みのアカウントであること
- 実際のお金かギフトカードでの購入実績があること
この条件は変わります。 僕はメモに「公開直前にCreator Hubで再確認したほうが安全」と書きました。この記事の条件を信じて準備しないでください。 出典はここです。
https://create.roblox.com/docs/production/publishing/publish-experiences-and-places
https://create.roblox.com/docs/studio/experience-settings
公開すると、名前と説明はRobloxが他の言語にも自動で出してくれます。 僕の「あんね姫を助けよう!」も、英語では別の名前で並びます。ここは自分で手を動かしていません。
課金は付いてきますが、後回しでいいです
Robloxには課金の仕組みが最初からあります。名前だけ挙げます。
Passes 1回買うと使えるもの
Developer Products 何度でも買えるもの
Paid Access 入場そのものを有料にする
Private Servers 貸し切りの部屋
手数料や取り分は書きません。 変わる数値をこの記事に固定すると、読んだ人が古い前提で計算します。必要になった時点で公式を見てください。
僕は1つも入れていません。 入場も無料のままです。遊ばれる形になったかどうかを先に見たかったからです。
ただし順番の話があります。課金の設計は後付けできますが、ショップの画面とゲーム内のお金は、最初の設計と絡みます。 僕がコインとだんご屋を最初から入れたのは、そこだけは後から足しにくいと判断したからです。
お金を受け取る側の話は8-4で扱います。
やってみる
まず1本目がブラウザで公開できているか確認する
できていないなら、この術は飛ばしてください。 8-1と8-2の方が先です。
Roblox Studio を入れて、白紙の土台で1つ作る
スポーン地点とは、遊ぶ人が入ってきたときに立つ位置のことです。これが無いと、入った人がどこにも立てません。
自分のゲームを移す前に、土台に床とスポーン地点と的を置いて、触ったらクリアと出るだけをやってください。僕もこれを別の1本として先に作りました。ここで「別物だ」と体で分かります。
移すものを1つだけ選ぶ
全部を移そうとしないでください。遊びの中心にある操作を1つだけ選びます。2-2で書いた「面白さの1行」がそれです。
僕は「コインを拾う」を選びました。ショップもゴールも、その後です。
この仕分けはAIへ渡せます。
いま手元にあるHTML1枚のゲームの中身を貼ります。これを Roblox で作り直す場合の整理をしてください。 1. そのまま持ち込めるもの、作り直しになるもの、捨てるものを表で分ける 2. Roblox 側での置き場(Experience / Place / スクリプトを置くサービス)を決める 3. 遊びの中心の操作を1つだけ動かす最小の構成を出す 公開条件や課金の手数料は、公式ドキュメントの該当ページのURLだけ示して、数値は書かないでください。 (ここへ index.html の中身を貼る)「捨てるもの」を必ず出させてください。 全部移す前提で始めると終わりません。
上から見た地図を1枚描く
スタート、道中、ショップ、ゴールを1枚に書き込みます。絵はAIに描かせて構いません。 これが無いと、3Dを置く作業に終わりが来ません。
選んだ1つをLuauで動かす
サーバー側1本から始めてください。 演出を手元側へ分けるのは、サーバー側が動いてからです。
Studioのテスト機能で遊ぶ
ここで「Robloxで作り直す価値があるか」を判断します。楽しければ進み、しんどければ2番目の記録を残して戻ってください。
質問票と公開条件を先に確認する
作り込んでから条件を知ると待たされます。先に確認してください。
一般公開へ変えて、自分のアカウント以外から開いてみる
ここまでで「Roblox上で遊ばれる」に届きます。公開設定を変えただけで満足しないでください。 一覧に出ているか、別の端末から入れるかを見ます。
記録する
git add . git commit -m "RobloxでExperienceを一般公開した" git push
つまずきどころ
ここまで作ったHTMLが使えない
それが正しい状態です。 Robloxは別の作り方をする場所です。移せるのは絵と音と3Dと、遊びのルールの考え方だけだと思ってください。僕も1行も移せていません。
公開の操作をしたのに一般公開にならない
上の条件を満たしていません。アカウントの条件と質問票を確認してください。作り込みの量とは関係ありません。
年齢向けの設定で止まる
これは埋めないと進めない工程です。自分のゲームに暴力や課金があるかを、正直に答えてください。
自分が拾ったものが全員から消える
サーバー側だけで演出まで済ませています。消すのは拾った本人の画面だけにしてください。1人用のつもりで書くと必ずこれをやります。
Luauを知らないままAIに全部任せて詰まる
置き場の名前だけは覚えてください。どのスクリプトがサーバー側で、どれが手元側か。 ここが分かっていないと、AIの出したものが動かないときに何も言えなくなります。
Studioが重い
3Dを扱うので、ブラウザで作るときより機械の負担が上がります。先に土台だけで動かして、手元の機械で耐えられるか確かめてください。
「人がいる場所」に期待しすぎる
ここは正直に数字を出します。僕の1本は、2026-08-04 時点で訪問14、高評価3です。自分のテストも混ざった数字です。
置いただけでは遊ばれません。 Robloxの中にも大量のゲームがあります。見つけてもらう工夫は、どちらの場所でも要ります。そこは9章の話です。
Windows の場合
公式に案内されているシステム要件は、調べた時点では Windows 10/11 の64bit、または macOS 10.13 以降でした。どちらでも作れます。
3Dを扱うので、8章の他の術より機械の力が要ります。それ以外の差はありません。
次の一歩
自分のRobloxのゲームを、別の端末から開いて遊んでください。 自分のStudioの中で動くことと、他人が入れることは別です。
そのうえで、進むか戻るかを紙に1行書いてください。 マルチプレイと課金が要るなら進む価値があります。要らないなら8-1で足ります。
最後にはっきり書きます。最初の1本は、ブラウザ公開で十分です。 8-1と8-2で他人が遊べる場所に置けています。Robloxは、2本目以降の選択肢として持っておいてください。
僕はその2本目をここに置きました。次は、あんね姫のところまで遊んでくれる人を増やす番です!