先に言っておきます
最初の1本に3Dは要りません。
1-6でこう書きました。「迷ったら2Dで始めてください。3Dは作る量が跳ね上がります」。これは今も変わりません。カードゲームなら2Dで完成します。
実際、この講座の見本ゲーム「三つの的」も2Dだけで完成しています。対戦相手のこよりは1枚絵の傾き(4-2)と顔の差分(4-3)で動いていて、3Dモデルは1つも入っていません。
この術と次の術は、3Dが必要になったときのために読む回です。いま作っているゲームで3Dが要らなければ、5章へ進んで構いません。
そのうえで、3Dに入る前に知っておくと得なことを書きます。知らずに始めると、時間とお金が消えます。
AIプロンプト
この術の作業をAIへ任せるときは、これをそのまま貼ってください。
キャラクターの三面図。front / side / back を1枚のシートに、
同じ縮尺・同じ高さで横に並べる。姿勢はA字(腕を横に広げて立つ)。
背景は白1色、地面の線や影は描かない。
(ここへキャラの説明、または参照画像を添える)
これで出てきたシートを見て納得してから、3D生成を叩いてください。
3Dは「生成」より「直す」が本番です
僕の作業記録を数えると、こうなっています。
| 道具 | 登場回数 |
|---|---|
| Blender(直す・繋ぐ・出力する) | 278 |
| Meshy(生成する) | 209 |
| Tripo(別の生成) | 62 |
Meshy と Tripo は、画像や文章から3Dの形を作ってくれるサービスです。Blender は、できた形を直したり繋いだり書き出したりする無料のソフトです。
生成した回数より、直した回数の方が多いです。 これが3Dの実態です。
生成AIは形を出してくれますが、そのまま使えることはほぼありません。面が多すぎる、穴が空いている、パーツの継ぎ目が合わない。直す作業が必ず来ます。
だから3Dをやるなら、生成ソフトより直すソフト(Blender)に慣れる方が効きます。 ここを知らずに始めると、生成をやり直し続けて課金だけが減ります。
1枚絵からではなく、三面図から作る
ここが一番効く知識です。
3D生成は「1枚の画像から」でもできます。でも形は合いません。 背中と側面の情報が無いので、AIが想像で埋めます。
だから三面図(正面・側面・背面)を用意して渡します。僕が実際に使っている参照がこれです。
これと同じ縮尺で、側面と背面も用意します。3面が揃うと、生成の形が一気に安定します。
3枚を別々に生成してはいけません
これは僕が実際に失敗した箇所です。
正面・側面・背面を別々に画像生成すると、縮尺と丈がずれます。 正面では膝丈のスカートが、側面では太もも丈になる。この3枚を渡すと、AIは食い違った情報から1つの形を作ろうとして、破綻します。
正解はこうです。1枚のシートに front / side / back を同じ縮尺・同じ高さで並べて生成し、そこから切り出す。
同じ絵の中に並べれば、縮尺は勝手に揃います。画像生成に渡す指示はこの形です。
キャラクターの三面図。front / side / back を1枚のシートに、
同じ縮尺・同じ高さで横に並べる。姿勢はA字(腕を横に広げて立つ)。
背景は白1色、地面の線や影は描かない。
(ここへキャラの説明、または参照画像を添える)
「1枚のシートに」「同じ縮尺で」を必ず言葉にしてください。 3回に分けて頼んだ時点で、上の失敗が確定します。
余計なものを写さない
もう1つの失敗です。
服の一部だけを3Dにしたくて、全身図から切り出したところ、枠の隅に隣のパーツ(袖やポーチ)が写り込みました。AIはフレームの中の全部を1つの形にしようとします。 結果、スカートに謎の突起が付いたモデルが出てきました。
対策は2つです。
- 切り出した後、写り込みを消す。 中央から繋がっている塊だけ残せば、部位が変わっても効きます
- 重なって切り分けられないなら、その部位だけを描き起こす。 消した跡がノイズとして残るより、描き直した方が速い
僕は最終的に2を選びました。切り出しでは、ポーチとストラップがスカートに完全に重なっていて分離できなかったからです。
生成は有料です
ここは正直に書きます。Meshy の生成はクレジットを消費します。 クレジットは、生成1回ごとに減っていく前払いの持ち点です。失敗した生成でも減ります。
だから僕は、入力画像を確認してから生成を叩く手順にしています。入力が雑だと出てくる形も雑で、やり直すたびに残高が減ります。
順番はこうです。
- 三面図を作る
- 切り出して、写り込みを消す
- 入力画像を目で見て納得する
- それから生成を叩く
2の「切り出す」は、1枚のシートに並んだ3面を、front・side・back の3つの画像へ分けることです。生成サービスへ渡すときに、面ごとのファイルが必要になります。
3を飛ばさないでください。ここが一番効く節約です。
できた3Dがこれです
上の参照から作った3Dモデルの、いまの状態です。
参照のイラストと見比べてください。同じではありません。 羽織とポーチはまだ付いていません。
ただしベルトは付きました。 この記事を最初に書いたときは、ベルトもありませんでした。3Dは1回の生成で完成しません。 部位ごとに作って、着せて、直して、また作る。その繰り返しの途中を、いま見ています。
1体は「20個の部品」でできています
いまのモデルの中身を数えると、こうなっています。読む前に1つだけ。3Dの形は、小さな三角や四角の面を貼り合わせて作られています。 表に出てくる面数はその枚数で、多いほど細かく作れますが、そのぶん重くなります。
| 中身 | 数 |
|---|---|
| 部品(オブジェクト)の数 | 20 |
| 合計の面数 | 17,375 |
| ボーン(動かすための骨) | 95本 |
| マテリアル(見た目の設定) | 21 |
1体が1つの塊ではありません。 素体、髪、衣装が別々の部品になっています。
素体(顔と体) 1個 8,036面
髪 7個 4,660面 前髪・中間・後ろ髪・ポニーテール・横髪・頭頂・地肌
リボン 1個 328面
衣装 11個 2,750面 上衣・スカート・ベルト・チョーカー・袖口2・
肩当て2・ガーター2・靴下
髪がいちばん重いことに注目してください。 髪7個で4,660面あり、素体を除けば最大です。アニメ調のキャラは髪に面数を食われます。 これを知っていると、軽くするときどこを削るかの判断が速くなります。
部品を分けている理由は3つあります。
| 理由 | 中身 |
|---|---|
| 差し替えができる | スカートだけ作り直せる。全部やり直さない |
| 別々に軽くできる | 見えにくい部品だけ面数を落とせる |
| 揺らす対象を分けられる | 髪とスカートに別の骨を入れられる(次の術) |
最初から1つの塊で作ると、この3つが全部できなくなります。
A字の姿勢で作っています
腕を横に広げた姿勢になっているのにも理由があります。これはA字の姿勢と呼ばれる、あとで動かすための基本姿勢です。腕を下げた状態で作ると、脇のあたりが潰れて動かしたときに壊れます。次の術で扱います。
つまずきどころ
思った形にならない
まず三面図を見直してください。入力が曖昧なら出力も曖昧です。 特に側面の情報が薄いと、厚みがおかしくなります。
面が多すぎて重い
生成直後のモデルは面数が多いです。減らす作業(ローポリ化)が必要です。僕は部位ごとに面数の予算を決めています。密着する衣装なら2,000面以内、のように。先に予算を決めると判断が早くなります。
クレジットがすぐ減る
入力の確認を飛ばしていないか見直してください。生成を叩く前に止まるのが、いちばん効く節約です。
Blenderが難しそう
難しいです。ただ、AIに頼めます。 Blenderは操作をコードで書けるので、「この頂点を減らして」「この2つを繋いで」と頼んで実行させられます。頂点は面の角にある点のことで、これを減らすと面も減って軽くなります。全部手で覚える必要はありません。
次の一歩
3Dが本当に必要か、もう一度考えてください。
必要なら、まず三面図を1セット作るところから始めます。生成はその後です。必要でなければ、5章へ進んでください。2Dで完成させた1本の方が、途中で止まった3Dより価値があります!
ここまでの三つの的
この講座は、見本ゲーム「三つの的」を術ごとにすこしずつ育てながら進みます。下にあるのはこの術を終えた時点の実物です。そのまま遊べます。

