こんにちは、健ちゃんです。
「社長室」とは、Claudeで社長室というセッションを立ち上げ、そこから複数のAI作業セッションを束ねる運用です。人間が各セッションを直接見て回らなくても、社長室の秘書役が指示と報告をまとめてくれます。いわゆるAIのオーケストレーションですね。
この社長室を作れば、ClaudeとCodexの複数セッションを1つの窓から動かせます。ただ、実際に1日回すと別の問題が出ました。便利になった分だけ仕事が並行し、秘書役のセッションも常時動くので、Claudeの利用枠が午前中だけで1日分近く減ってしまったんです。
資金がふんだんにあれば、Claudeの複数アカウントで運用すれば済む話です。でも、僕にはそんなお金はないので、AIの運用方法を工夫しないといけません。
そこで、Claudeを司令塔に残し、実働の大半をトークン効率の高いCodexへ移し、難しい仕事だけClaudeへ戻す形に変えました。この記事では、品質と費用を両立させる「貧乏人のための社長室」の組み方を紹介します。
なお、社長室そのものの仕組みやフォーカスセッションについては、前回の「社長室」を使って、AIに任せた8つの仕事をラクに一元管理した話で詳しく紹介しています。
1. 社長室を動かすと、仕事だけでなく利用枠の消費も加速する
社長室を作ると、僕が複数のチャットを巡回しなくても仕事が進みます。これは本当に楽でした。ただし、楽になったからこそ、同時に動かせる仕事の数も増えるんです。
僕が1日運用してみたときは、午前中だけで予定していた1日分近くのClaude利用枠を消費しました。社長室を置く前より多くの案件が並行したので、まず実働セッション側の消費が速くなったんですね。
もう1つは、秘書役によるトークン消費です。社長室も1つのClaudeセッションなので、各担当が使う利用枠とは別に、指示の整理、見回り、報告の受け渡しにも利用枠を使います。
つまり、社長室の消費が増える理由は2つあります。仕事をたくさん回せるようになったことと、その仕事を束ねる秘書が増えたことです。
だからといって、僕は社長室をやめたいとは思いませんでした。人間がすべての現場を巡回する形へ戻さず、AIの運用方法だけを変えればよいと考えたんです。
2. Claudeは社長室に残し、Codexを実働部隊にする
僕が選んだのは、Claudeを人間と話す社長室に残し、その下へ複数のCodexセッションを置く形です。人間はClaudeの窓だけを見て、継続作業はCodexの実働部隊へ任せます。
この構成なら、社長室が持つ「窓口を1つにする」という価値は失われません。一方で、すべての担当をClaudeでそろえる場合より、Claude側の利用枠を実働へ使い続けずに済みます。
Claude Codeから既存のCodexセッションへ指示を渡す入口として、現行のCodex CLIにはcodex queueがあります。対象セッションのIDか正確な名前を指定し、後続のメッセージを積めます。
codex queue --thread "<セッションIDまたは正確な名前>" \
--message "次の作業へ進んでください。"
ただし、コマンドが終了コード0を返しただけでは、担当が作業を始めたとは限りません。僕は、指示がキューへ保存されたまま、担当が再開せずに止まった経験があります。
そこで、一覧、読取、確認付き送信をまとめたcodexsessという補助CLIを作りました。これはCodexの公式機能ではなく、Codex app-serverへ接続して使う僕の管理ツールです。
codexsessは、送信前に宛先と本文を表示し、確認後に指示を投入します。さらに「受付」「開始」「到達確認」を分け、送ったつもりを成功扱いしないようにしました。
内部ではCodex app-serverを使いますが、これは現行CLIでも実験的機能です。環境やバージョンで挙動が変わり得るため、利用前にcodex queue --helpとapp-serverの状態を確認してください。
3. 安い秘書は、忘れる前提で仕組みにする
では、社長室のClaudeも軽いモデルへ替えれば、すべて解決するのでしょうか。利用枠の消費は抑えやすくなりますが、僕の環境では別の問題が出ました。
秘書役をSonnetにして試したところ、フォーカスセッションの切り替えをよく忘れたんです。担当が動き始めても同じ案件を見続けたり、次に見るべき案件へ移らなかったりしました。
これは、Sonnetが必ず忘れるという一般論ではありません。僕がこの社長室とルールで運用したときの結果です。モデルを替えたときの消費量の差も、厳密な料金比較ではなく、僕の利用枠で見た感触にすぎません。
Sonnetが忘れやすいとはいえ、秘書を置かずに自分で全セッションを巡回するよりは楽でした。僕は忘れたと気づくたびに「フォーカスを切り替えて」と伝え、重要なルールはプロンプトと運用ファイルへ残しています。
安いモデルへ替えるなら、性能差を気合いで埋めるのではなく、忘れる前提で仕組みにする必要があります。移行条件を短く固定し、報告の形を決め、到達確認を機械に任せるんです。
ここで大切なのは、いちばん安いモデルへ全部を寄せることではありません。常時動く部分を軽くして、高い能力が必要な仕事だけ別の経路へ逃がすことです。
4. Codexでは難しい仕事だけ、Claude(Fable)へ戻す
Codexを実働部隊にすると、「文章やデザインの品質までCodexだけで足りるのか」と不安になりますよね。僕も、すべての仕事をCodexだけで終わらせるつもりはありません。
僕の考え方は、大半の調査、実装、検証をCodexへ任せ、Codexでは難しい一部分だけClaudeへ戻すというものです。この記事では、その難所だけを担当するClaudeを「Claude遊撃隊」と呼びます。
Claude Codeには、1回の指示を渡して結果を受け取る-pがあります。たとえば本文の文章化だけFableへ任せたいなら、Codex側から次のように呼び出せます。
claude --model claude-fable-5 -p "構成と素材に沿って本文を書いてください"
この経路は、ClaudeからCodexを動かし、さらにCodexからClaudeを呼ぶので、見た目はまどろっこしいです。でも、高性能モデルを全工程で使わず、効果が大きい難所へだけ投入できます。
僕の運用では大半をCodexへ任せられましたが、これはベンチマーク結果ではありません。あなたの仕事を試しながら、Codexで完結する範囲と、Claudeへ上げる条件を決めてください。
5. 「貧乏人の社長室」は、安いAIではなく高いAIの呼び場所を決める
貧乏人の社長室を始めるとき、最初に決めることは3つだけです。誰が人間と話すのか、誰が普段の実働を担うのか、どんな条件で高性能モデルへ上げるのかです。
| 役割 | 僕の構成 | 決めること |
|---|---|---|
| 司令塔 | Claudeの社長室 | 優先順位、フォーカス、報告の形 |
| 常用する実働 | 複数のCodexセッション | 案件ごとの継続作業と検証 |
| 難所の遊撃隊 | Claudeの高性能モデル | 文章、デザインなど呼び出す条件 |
いきなり多くの案件で試す必要はありません。継続案件を3つ選び、「Codexで完結」「難所だけClaude」「最初から人間とClaude」の3つへ分類してみてください。
ここで、僕のClaude Max $200プランでの実測も出しておきます。約8時から15時までの7時間、社長室とFableのセッションを主に使ったところ、週間枠の消費は4%でした。
この4%にはFableの利用も含まれるため、社長室だけの数字ではありません。セッション別の推移から、社長室単独の消費はざっくり2%だったと見積もっています。
| 数値 | 位置づけ |
|---|---|
| $200プランで7時間、週間枠を4%消費 | 社長室とFableを主に使った実測 |
| 社長室単独で約2% | セッション別推移からの概算 |
| $100プランなら約8%相当 | 週間枠を4分の1相当として換算した類推 |
$100プランでの8%相当は、実際に測った数字ではありません。$100プランの週間枠を$200プランの4分の1相当として、同じ使い方をした場合へ単純換算した概算です。
週間枠を7日で均すと、1日分は約14%です。そのうち社長室だけで8%相当を使えば、ほかの作業へ残るのは6%相当という計算になります。
この計算が正しければ、Claude秘書は1ヶ月で5千円(Max $200プラン)から1万円(Max $100プラン)程度の費用がかかります。これを高いと見るか、安いと見るかはお任せします。
実測の証跡には、現在のセッション使用率と、週間制限における全モデル・Fableのみの推移を表示したスクリーンショット2枚を使いました。ただし、これらは僕の環境での実測と類推であり、一般的な消費量や公式の料金試算を示すものではありません。
7時57分時点。現在のセッション6%、週間すべてのモデル27%、Fableのみ21%。
14時47分時点。現在のセッション15%、週間すべてのモデル31%、Fableのみ27%。
使い始めたら、モデルごとの消費量だけでなく、人間が何回現場へ戻ったかも測ってください。同じ案件数で作業全体の利用枠が何割減るかは、まだ比較できていません。
利用枠の減りが遅くなっても、あなたの巡回や手直しが増えすぎるなら、その配置は成功ではありません。モデルの安さではなく、人間を含む運用全体で判断するんです。
逆に、AI側の処理が少し遠回りでも、人間が見る窓を1つに保ち、高性能モデルの出番を限定できたなら、社長室を続けやすくなります。僕が作りたかったのは、最安のAI組織ではなく、無理なく回し続けられるAI組織なんです。
今回紹介したcodexsessは、僕の環境で使っている補助CLIです。メルマガ登録者特典のスターターキットへ収録しているので、自分で一覧・読取・確認付き送信を組むところから始めたくない方は、そちらも判断材料にしてください。
社長室は便利で、僕はアリだと思っています。ただ、実際に利用枠を消費し、お金もかかる運用です。誰にでも勧めるのではなく、あなたのプラン、使う時間、任せる仕事を見ながら慎重に判断してください。
メルマガ
元エンジニアがAIについて、実践を元に発信しているメルマガです! ぜひご登録ください。



