ゲームは技術の集合体です
最初に、いちばん大事なことを話します。なぜゲームなのかです。
「ゲームなんて作っても仕事には関係ない」と思うかもしれません。逆です。ゲームは、いろいろな技術が1つに集まったかたまりです。1本作り切ると、その中身がまるごと手に入ります。
ゲームの中に何が入っているか、並べてみます。
| ゲームの中身 | これが使える先 |
|---|---|
| 絵とキャラクター | 商品画像、資料の図、SNSの投稿 |
| 音と声 | 動画のナレーション、読み上げ、案内 |
| 画面(UI) | 申込フォーム、管理画面、ダッシュボード |
| ルールとデータ | 見積り計算、在庫管理、業務の自動判定 |
| 保存と読み込み | 顧客データ、記録の蓄積 |
| 公開とドメイン | 自分のサービス、LP、社内ツール |
| 決済 | 商品を売る、有料サービス |
| 数字を見る仕組み | 効果測定、改善 |
ゲームを作れるようになると、この応用でいくらでも作れるようになります。 趣味のものはもちろん、仕事に役立つコンテンツやアプリも作れます。
だからゲームは、教材としていちばん効率がいい題材です。一通り触れる範囲が広く、しかも作っていて楽しい。続けられます。
このサイトも同じ技術でできています
抽象的な話にしたくないので、目の前の例を出します。
いま読んでいるこのサイトも、AIを駆使して作りました。 数日でここまで来ています。
使っているものは、この講座で扱うものとほぼ同じです。
- AIに書かせる開発(1章で扱います)
- 画面の作り込み(6章)
- データの保存と会員の仕組み(6章)
- 公開とドメイン(8章)
- 壊れたら気づくためのテスト(7章)
- 数字を見て改善する(9章)
ゲームで覚えた並びが、そのままサイト作りになっています。 順番が違うだけで、やっていることは同じです。
僕自身、ゲーム作りで覚えたことを、AI社員の仕組みやCLIツール、動画制作にそのまま流用しています。1つ作り切ると、次からは組み合わせで済むようになります。
「楽しくする工夫」は仕事でこそ効きます
技術の話をしましたが、ゲーム作りで身につくものはもう1つあります。人が何を面白いと感じ、どこで飽きるかを設計する目です。
これは仕事で直接効きます。
辛い仕事、面白くない仕事は、担当する人の負担になります。そして長続きしません。人が辞めるか、手が止まるか、質が落ちるか。どれかが必ず起きます。仕組みとして持続性がありません。
ところが同じ仕事でも、楽しくする工夫と効率よくする工夫をすれば結果は変わります。やる人が嬉しくなり、続くようになります。仕事の内容は変えていないのに、続く仕組みに変わるわけです。
では、その工夫はどこで身につくか。ゲームを作って、実際に遊んでもらうと身につきます。
ゲーム作りで必ず考えることを並べてみます。全部そのまま仕事に置き換わります。
| ゲームで考えること | 仕事に置き換えると |
|---|---|
| 操作を減らす。1手で済ませる | 無駄な手順・二重入力をなくす |
| 押したら反応を返す | 作業した実感が持てる仕組みにする |
| 説明なしで分かるようにする | マニュアルを読まなくても使える |
| 進んでいるのが見えるようにする | 進捗が見えて、達成感が返る |
| 難しすぎず、易しすぎず | 力量に合った割り振りにする |
| つまずく場所を先に潰す | 詰まりやすい所に手を打っておく |
そして決定的なのは、ゲームは遊んでもらった瞬間に答えが出ることです。つまらなければ、その場で離れます。分かりにくければ、質問される前に手が止まります。言い訳が効きません。
この容赦のないフィードバックを何度か受けると、「何を効率よくすべきか」「どうすれば楽しくなるか」が身体で分かるようになります。頭で理解するのではなく、やって覚えます。 そこまで来た人は、仕事の仕組みも同じやり方で作り直せます。
僕は、これがゲームを作る一番実利のある理由だと思っています。
そして、あなた自身が続けられます
ここまでは「身につくもの」の話でした。最後はあなたが続けられるかの話です。こちらの方が大事です。
業務ツールを作っても「すごいね」で終わりますが、ゲームは触ってもらえて、遊んだ感想が返ってきます。その反応が次を作る燃料になります。
1人でも「面白かった」と言ってくれる人がいると、次が作れます。逆に反応がゼロだと、どんなに立派な技術を使っても手が止まります。
これは前の節と同じ話です。続く仕組みを作れる人は、自分の作業も続く形にできます。 自分が続けられない方法で、人に続けてもらうことはできません。
だから僕は、最初の1本にゲームを勧めます。技術が身につくうえに、続くからです。
やってみる
考えるだけで終わらせないために、1つだけ書き留めます。
作ってみたいものを1行書く
ゲームでなくても構いません。「2人で遊べるカードゲーム」でも「仕事で使う見積りツール」でも。
なぜそれを作りたいか、1行足す
「友達と遊びたい」「毎回の手作業をなくしたい」。理由がある方が完成します。
メモに残す
紙でもスマホでも構いません。次の術で、これを置く場所を作ります。
この2行が、あなたの出発点になります。途中で迷ったら、ここへ戻ってきてください。
つまずきどころ
作りたいものが思いつかない
それでも進めて大丈夫です。この講座では my-first-game という名前で進めていくので、まずはそれに乗ってください。手を動かしているうちに「これが作りたい」が出てきます。
ゲームより先に仕事のツールを作りたい
止めません。ただ、手順はほぼ同じです。この講座をゲームで通してから作った方が、遠回りに見えて早いです。絵や音の章は飛ばしても構いません。
自分には難しそう
コードは書きません。日本語で頼みます。うまくいかなければ戻せます。この2つが揃っているので、壊す心配をせずに進められます。
次の一歩
次の術から、実際に手を動かします。最初にやるのは、作ったものが消えない置き場を用意することです。
楽しいゲーム制作の世界へ、ようこそ!
